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People Advisory Services(PAS)

EY就活ルール変更に関する意識調査と将来の採用トレンド

本調査はEYが日本の学生328名および企業325社(含、経団連加盟企業:これまでの就活ルール対象企業127社)に対して2019年2月8日から2月22日に行ったオンラインサーベイであり、2021年4月入社者以降を対象とした就活ルールの変更(主管が経団連から政府へ)後に企業が予定する対応方針、学生側からの期待・要望と、それら差異の傾向をまとめ、日本における採用の未来に関して解説したものです。

就活ルールの今

就活ルールは経団連が加盟企業に対して就活イベントの開始時期等を横並びにするよう求めていたガイドラインです(説明会開始日:「3年生時の3月1日」 選考活動解禁日:「4年生時の6月1日」 内定日:「4年生時の10月1日」など)。

今回、2021年卒業生(2019年7月時点の大学3年生)以降を対象に、経団連主導の就活ルールを廃止し、政府が就活ルールを主導していくことになりました(急激なルールの変更による学生への混乱を回避するために、2021年卒は現状のルール<上記>。維持の方針を示しています)一方で、就活ルールの主導が変更されたあとも当該ルール見直しについては毎年継続的に議論されることとなっています。

就活ルール変更後の影響調査結果

経団連主導時にはその加盟企業約1,400社に対してルールの遵守を求めていましたが、今後政府が主導する場合、国内企業約380万社()に対象が拡大することとなります。このルール変更後に想定される影響として、対象企業が大幅に増える為、「全ての企業が守るべきルール」となるのか「形骸化」するのか、その影響の行方が注目されています。

我々の調査では、以下の5つの結果が示されています。

  1. 学生の就活ルールへの理解・関心は低く、多くの学生からルールの継続・廃止に関する要望も挙がっていない
    • 就活ルールについて19%の学生が「正しく理解していた」と回答
    • 就活ルールの継続是非について、67%の学生が「どちらとも言えない」と回答
  2. 経団連加盟企業では3割が就活ルールの廃止を希望している一方で、半数以上の経団連非加盟企業は無関心
    • 就活ルール継続の是非について、31%の企業が「維持してほしい」と回答
    • 経団連加盟企業は28%が「ルールを廃止してほしい」と回答
    • 非加盟企業では54%が「どちらでも良い」と回答
  3. 今回の就活ルール取り扱い変更に伴い、経団連加盟の多くの企業で採用手法や方針の変更を予定
    • 経団連加盟企業の43%が採用手法や方針を「変える予定である」と回答
    • 非加盟企業では58%が「変えない予定である」と回答
  4. 企業の採用手法や方針変更の方向性として、採用時期の早期化、通年採用、チャネル多角化、通年採用、柔軟な働き方が挙がっている
    特に、採用時期の早期化・通年採用は学生からの要望も強い
    • 経団連加盟企業の約4割が採用時期の早期化、チャネルの多角化、通年採用、柔軟な働き方を「導入する/したい」と回答
    • 3-5割の学生は採用時期の早期化や通年採用など「時期に縛られない」採用を 希望
  5. 学生は学問、サークル活動に注力。企業はこれに加えビジネススキルの習得(即戦力かどうか)を評価する傾向
    • 学生・企業ともに力を入れるべきことのトップとして「学問」を選択(6割以上)
    • ビジネススキルの習得に力を入れる学生は10%程度だが、40-50%の企業でこれを評価する傾向にある
    • 経団連加盟企業の35%が「海外留学」を採用の際に重視すると回答

上記のような結果を踏まえると就活ルールは形骸化し、採用時期の早期化、通年採用、採用チャネルの多角化へとシフトしていくものと推察されます。

調査結果から見えた採用の未来に関する考察

学生と企業の間にはどのようなGAPが存在するか

上記でも少し触れましたが、学生が力を入れていることと企業が学生に求めることにGAPが見られました。4割近くの学生がアルバイトに力を入れている一方で、企業は一定程度ビジネススキルの習得や海外留学、ボランティア等会社や社会とのつながりを求めています。

学生が力を入れることと企業が学生に求めることのGAP

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学生の就活を議論する際によく「学生に学問をやらせるのかビジネスをやらせるのか」という議論が持ち上がりますが、この調査結果を見ていると、企業は「どちらか」ではなく「両方」を求めているものと推察されます。

にもかかわらず、学生が(学問・サークル活動の他に)アルバイトに注力しているということは、企業の思惑がうまく伝わっていないことを表しており、今後はより一層明確に企業が学生に対して求めるものを伝えていく必要があります。

例えば欧米ではJob Descriptionと呼ばれる職務定義書を通じて明確に必要となる経験やスキルを伝えていますし、シンガポールでは政府が明確に「ホワイトカラーはシンガポール人が務めるべき」とメッセージを発信しています。

このように明確な要件を学生に伝えることがフックとなり、学生がビジネス知識やスキルを習得していくきっかけとなります(先の例で挙げたシンガポールでは学生が「ホワイトカラーとは何か」を考えたり、「それではブルーカラーとは何か」と思考を展開していくきっかけとなっており、ただ単に「地頭がよく、コミュニケーション能力が高い人材を求めます」というメッセージよりも学生がイメージしやすく、アクションを起こしやすい問題提起になっています)。

このように、学生と企業のGAPを埋めるためには、まず企業や政府・社会が学生に求めることをより明確に伝えていく必要があるものと想定しています。

企業はどのような採用施策を導入すべきか

これまでの調査結果から、就活ルールは形骸化し、企業の採用モデルは新卒一括採用から脱却していくものと読み取れます。さらに注目すべきは採用時期の「早期化」を行うと回答した企業が29%存在し、学生同様の質問を行ったところ35%が内定時期の「早期化」を望むと回答しており、企業も学生も一定程度「青田買い」を意識していることです。

学生と企業が就活ルールの変更に伴い期待すること

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一方で我々は、就活ルールの変更に伴い、「早期化(新卒よりもっと若い世代)」のみに解を求めてしまうのではなく、知識と経験を十分に積んだプロフェッショナルまで採用の裾野を広げていくことが必要だと考えています。リスクとリターン、自社に必要な人材の量的・質的要件を加味した上で、採用のポートフォリオを検討することが肝要となります。

目的別採用ポートフォリオ検討のすすめ

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また、今後企業がそのような候補者を惹きつけ・確保するためには、大きな受け皿を用意し、スクリーニングの過程でスキル定着化やロイヤリティを高めるためのプロセスを設計・実行していくことが重要だと考えております。

例えばThe World's Top 50 Most Attractive Employers 2018(By Universum)で3位を獲得したEYでは、採用候補者に対して入社への強い意識づけを行うことを目的とし、上記のようなプロセスを整備・実行しています。

Globalで最も魅力的な企業の一つであるEYの採用メソッド(例)

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EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社
People Advisory Services (担当:小野)